令和2年度から副会長に就任いたしました仲川です。就任して一年三ヶ月程が経過しました。新型コロナウイルスが発生して1年半以上が経過し、ワクチン接種率が40%を超えたにも関わらず感染拡大に歯止めが掛からない状況が続いています。副会長就任前とは景色が一変したことで職責を十分に果たしているかを自問自答しながらも、各個人が感染予防をしっかり行うことが最も大切と考え、社員や関係者に感染防止対策の徹底を呼び掛けています。
新型コロナ禍を通じて仕事の上でも状況が一変し、リモート会議や在宅勤務が当たり前になりつつあります。コロナ終息後に向けてDX(デジタルトランスフォーメーション)やSDGsを基本とした活動が社会から当然のように求められると考えています。我々が所属する建設業界は、設計者・建設技能者・技術者の大量離職と長時間労働といった構造的な問題を抱えています。人材の確保が年々難しくなる中、労働時間を減らしつつ、建築の品質を確保し向上していくには、DXにより「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」事が欠かせません。私は設計事務所のDXの基盤はBIMであると考えます。
建設業界は産業界の中でもデジタル化が遅れていると言われてきました。社会から求められる建築の価値を一層高めていくには、DXによる業務の生産性向上が欠かせません。建築技術と共に情報技術に強い人材のニーズが高まっており、業界・業種の枠を超えた技術・ノウハウの共有と人的なネットワークが今後ますます重要になっていくと思われます。新しい時代を担う山形県内の多くの事務所協会員の皆さんに、激動する社会環境で共生し続けて行く為の変化(進化)に繋がるヒントやキッカケづくりとなる情報を発信していきたいと考えています。
BIMは建物の3次元モデルに材料・コスト等の属性データを関連付けることで、設計~施工~維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うための手法であり、DXを実現するための基盤です。BIMワークフローにおいてはフロントローディングが重要であり、設計段階に施工段階の情報を取り入れて設計の精度を高めることにより、施工段階の生産性や品質が向上します。そのためには、設計業界のみならず、専門工事業者・施工事業者、IT業界、発注者とのネットワークをより強固に、そして少しずつでも拡大していくことは、今後も事業を継続していくうえで欠かせないものになると思います。景色が変わっても、時代が変わっても、人との繋がりが大きな財産であることに変わることはないでしょう。若い人たちが魅力を感じる業界であり続けられるよう、使命感を持って「建築DX」と「人的ネットワーク」の実現に努めます。
事務所協会での当面の取組みとしてはBIMや建築デジタル技術に関わる研修会を開催して行きたいと考えています。会員、賛助会員の皆様とともに前進し、コロナ禍後の社会でより良い建築をお客様に提供できるよう活動していきます。
最後に皆様のご健勝をお祈りし、挨拶といたします。
一版社団法人 山形県建築士事務所協会「会員通信」第11号 寄稿(令和3年9月1日発行)